国際カーエレクトロニクス技術展2016にて、先進運転支援システムのための交通標識認識システムに関する展示を日本ケイデンス・デザインシステムズ社と共同で行いました。


広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所小出准教授らの研究グループと日本ケイデンス・デザイン・システムズ社は、広島大学で開発された交通標識認識のためのハードウェア向けアルゴリズムをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(ProtiumTMへ搭載して、国際カーエレクトロニクス技術展2016(平成28年1/13~1/15、東京ビックサイト)において展示を行いました。また、この成果は,長崎で開催された電子情報通信学会主催のデザインガイア2015(平成27年12/1~12/3)において、「道路速度標識認識システムのRapid Prototyping Platform への実装」という研究内容で発表も行っています。

近年、自動車普及台数増加による交通事故の増加が深刻化していますが、交通事故の主な原因として発見の遅れ、判断・操作ミスなど運転者によるものが挙げられます。これらの事故の要因を取り除くため、運転手の操作をアシスト(支援)することで事故そのものを防ぐ先進運転支援システム(ADAS: Advanced Driver Assistance System)が注目されています。また、ADASは車載向けアプリケーションの中でも最も急速な成長を遂げている分野の一つで、特に車載カメラを通して道路標識を認識し、ドライバーに通知するシステムに関する研究が近年盛んです。

そこで,本研究では、ADASシステムの一つとして、車両前方に取り付けた単眼カメラからの画像から速度標識を検出して、標識の速度を即時に読み取る組込みシステムの開発を目的としました。

広島大学が開発した交通標識認識アルゴリズムは、矩形パターンマッチング、円検出、数字認識の3処理で構成され、夜間や雨天時、標識に傾きや歪みがある場合にも対応できるものです。また、簡単な計算で抽出可能な特徴量を使い、瞬時に道路標識認識を行うことができるため、非常に小型な集積回路に実装することが可能であるという利点があります。今回、広島大学は、3つの処理のうち矩形パターンマッチングをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(ProtiumTMへ実装し、ハードウェアとソフトウェアの協調設計を行うことで、システムの最適化と開発期間の短縮を行いました。

ラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(ProtiumTMは、ケイデンス・デザイン・システムズ社が開発している、早期の設計段階からハードウェアとソフトウェア開発が可能なプロトタイピング・プラットフォームです。これを用いることにより、プロトタイプの立ち上げ時間を従来と比較して最大70%削減し、何ヶ月もかかっていた工程を数週間に短縮することによって生産性を向上することができます。今回の広島大学の報告は、複雑な画像処理システムのプロトタイプの早期立ち上げに効果的な実証事例の一つとなりました。

小出准教授らの研究グループでは、標識認識アルゴリズムおよびシステム開発を加速するため、ケイデンスと緊密に協議を行いラピッド・プロトタイピング・プラットフォームの適用をすすめてきました。これによりプロトタイプシステムの立ち上げにかかる期間を短くすることができ、アルゴリズム開発に集中することができると考えています。今後は、ProtiumTMを活用したソフトウェア/ハードウェアの協調設計による更なる改良をおこない、アルゴリズムとハードウェア開発の生産性向上を目指していきます。




【参考資料】


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広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 准教授 小出哲士
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日本ケイデンス・デザイン・システムズ社
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